ココロで感じたとりたち ~Great Nature&Birds~ | トドの赤ちゃんが死んだ 撮影者のアヤマチ
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2016.07.15

トドの赤ちゃんが死んだ 撮影者のアヤマチ


先月から狭い我が個室に住み着いている1匹のハエトリグモの姿を見ること、
日の出前の静かな森から聞こえてくるヒグラシの涼しげな音色・・・ 最近では一番の癒しになっています。

各地で大雨による災害が頻発していますね。
一昔前では1時間あたりの降水量が50mmでも驚いていたのに、今や100mm以上でも驚かなくなってきました。
短いスパンの出来事であってくれればよいのですが、ネガティブ気質の私には、日本の気象が確実に変化しているんだろうと考えてしまいます。

ツキノワグマの問題を考えていたおり、また考えさせられるニュースを目にしました。

1106.jpg

出典 毎日新聞
http://mainichi.jp/articles/20160715/k00/00m/040/096000c


色々な情報を精査してみると、北海道の八雲町、熊石見日町という道南、江差の上の辺りにある日本海側に面した浜辺で、
トドが出産して子育てをしている最中、興味本位でスマートフォン撮影しようとした若者2人が、トドに近づきすぎて母親が恐怖を感じて育児放棄、
残された赤ちゃんトドは自力では生きられないので、地元の方々が水族館などに保護を求めたが、残念ながら餓死してしまったということのようです。

トドはアシカの仲間では最大、♂は3m、1tの大きさになります。車でいえば、コンパクトカーのサイズです。
北米カリフォルニア中部から北に沿ってアラスカ南部、西に向かってベーリング海、アリューシャン列島、カムチャツカ半島、北海道辺りまで分布しています。
北海道や青森では晩秋から春にやってくるようですが、回遊などについては未だに不明な部分が多いようです。
トドは北海道などで漁業被害が深刻なことから有害鳥獣に指定されていて、駆除の対象になっていますが、
方やアメリカやロシアでは絶滅危惧種に指定されるなど、人間の都合によって翻弄されている生き物のひとつといえると思います。
 
そんな不遇な状況に置かれているトドですが、今回の敵はスマートフォンで撮影する人間。
赤ちゃんがかわいそう、有害鳥獣だから結果的に駆除できてよかった・・・ などと色々な声が聞こえてきそうですが、
ここでは、撮影者について話をしたいと思います。

野鳥の撮影については、もうすでに何度も記し、フィールドでも幾度となく声に出してきましたが、
今や生活必需品ともいえるものにカメラが付いてしまった結果、あらゆるところで問題が起きています。
撮影者が増えれば、問題行動を起す人間も増え、結果的に深刻な問題も増える。
そこにはプライバシーや肖像権などの人間に対する法はあれど、生き物にはなし。
カメラ業界などが、もっと啓発してもいいと思うんですが、私の知る限り率先してアクションを起している企業は目にしたことがありません。
そうなれば、各自の判断にゆだねることになるわけですが、その結果のひとつが今回の悲しい出来事だと思います。
撮影者当人は、まさか母親が子を捨てるはずがないとでも思ったのでしょうが、
自然界では、己の身に危険を感じた場合、やむなく子供を見捨てる種は少なくありません。
そういった思慮が浅かったゆえにスマートフォンで撮れる距離まで接近してしまったのだと思いますが、
これは今回のトドに限ったことではなく、クマにしても猿にしてもシカにしても野鳥にしても生き物全てにあてはまります。

特に今は野鳥など多くの生き物の繁殖期、生き物たちにとっては種をつなぐ大事な時期です。
子を持つ親ならば、知識がどうの以前に己の経験として察しがつくものだと思いますが、
残念ながらそうではない人も大勢いるようです。
今一度、野鳥については近距離から営巣場所に張り付いて撮影・観察するのはやめましょう。
万が一営巣場所に近づいてしまったら静かにその場を離れてください。
フラッシュ撮影は人間より遙かに精密、繊細にできている鳥類の目に少なからず影響を与えますし、
神経質になっている抱卵や育雛をしている個体を驚かせてしまいます。絶対にやめてください。
プロがやっているからどうのという問題ではありません。主体がなんであるか、どういう時期なのか理解してください。

今回のことは、自分自身も撮影者として改めて襟を正すべきだと思いましたし、
みなさんも今一度普段の撮影について振り返って欲しいと思います。

トドの赤ちゃんが餓死したことは、たかが害獣の子供1頭の死なのかも知れません。
けれど、命の重さは等しく、人間だけが特別であるはずもなく、共に自然の中に生きるものとして深く考えて欲しいと思います。


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